unikki

隙間を埋める生活

欲深き一週間

12月9日(月)
眼球の摘出手術を無事に終えた猫は、不自由もなさそうに走り回っている。以前は、飛び出た眼球をぶつけては、きいきい怒っていたので、良かったね、良かったねと猫を撫でている。猫は完全に人間を信頼しきっていて、抱っこするだけで、煮すぎたうどんのように、くてくてになった。わたしが最低な人間だったらどうするんだよと思うが、猫はそんなこと露ほどにも思っていないんだろうな。すごいな。この話をしたら「あなたの優しさが伝わってる結果でしょ」と言われて、涙が出そうになった。もっともっと伝われ、と思いながら今日も猫を抱く。
噂のシュトーレンを初めて食べた。あんなに美味しいものを、なぜ今まで食べてこなかったのか。一切れをものの数秒で平らげた気がする。こんなに美味しいの十二月しか食べられないなんて切ない。一ヶ月間しか食べられないなんて、まるで七夕の織姫と彦星のようだね(?)

 

11日(火)
『レヴェナント 蘇りし者』を観る。どこもかしこも銀世界で、モノクロなのに強い映画だった。

 

10日(水)
ここ最近、改札で家の鍵を出してしまう。タッチする前に、慌ててICカードを取り出すを繰り返している。出勤のときだけの悪習なので、どんだけ帰りたいんだろうと呆れている。今後も繰り返すことは、想像に容易い。
『クイーンオブヴァンパイア』を観る。『インタヴューウィズヴァンパイア』の続編であり、歌手でもあるアリーシャの遺作になっている。キャストが一新されたのと、前作を観たのが数年前のせいか、何が何だか理解できずに終わった。ただただ、アリーシャのつやつやに光る頬やおでこが美しかった。


12日(木)
仕事中『ブレードランナー2049』のライアン・ゴズリングを思い出す。ブレードランナーを観たのは十月で、その時ちょうど体調が悪くてぼやぼやの頭を抱えて観てしまい、ほとんど話は覚えてはいない。それなのに、急に、ふとした瞬間、ライアン・ゴズリングのあの無表情に近い寂しそうな顔を思い出す。何か言いたげな表情。思い出す度に、胸の奥がざわざわする。恋じゃない。恋ですら、ざわついたことがないというのに。でも、やっぱりライアン・ゴズリングのあの顔を思い出す度に、胸はざわつく。

 

13日(金)
スターウォーズシリーズを初めて観る。テレビでやっていた。最初に流れる、あの俯瞰角度の説明文は毎回なんですか?中学生のときに作ったパワーポイントを思い出して掻きむしりたくなる。

 

14日(土)
タクシー運のない一日だった。行きは運転が下手なドライバーで、帰りは「なんで近いのに歩かないの」とため息をつかれた。言い返すと、女であること、外国人であることをバカのするような言い方をされたので、Youtubeで大音量で讃美歌『主われを愛す』を流した。沈黙だけのために宗教を使ったことを申し訳なく思うが、門は誰にでも開かれると、学生時代に学んだ。許して、イエス・キリスト。件のGRAMPY OLD MANには、効いたようだった。ポケモンで言うと、こうかはばつぐんだ!です。効かなかったらOLD FXXTを使いました。使わずに済んだことを感謝します。アーメン。
ライブに行く。雨の降る冷たい夜だった。「”負けたくなければ闘え”とノートに書きました」と細美武士は言った。「誰にも勝てないけど、俺は俺でいるために闘う」
その言葉に俄然やる気が出て、体を鍛えよう、痩せようと思ったのに、家に帰ったらお腹がすいて、いつも以上に食べてしまった。今日の教訓、食欲とは闘えない。

 

15日(日)
『黄金のアデーレ』を観る。映画に限らず表現作品のいいところは、過去に現代の人物を介入させることができること。不可能である過去の会話が容易くできる。マリアが当時の家族と会う、最後のシーンが良かった。
気仙沼のMe2というお店の手編みのセーターが可愛い。もし型紙からやってくれるなら…と考える。わたしはでかい。肩幅も広く、特に腕が長い。腕を広げて身長分だとよく聞くが、わたしの場合、腕を広げ、指先までしっかり図ると180cmくらいある。手首までだとしても、身長よりも長い。既製品では短いので、セーターはいつも捲り、袖がでろんでろんになる。厄介だ。
買ってしまおうかと悩むが、お値段的に、今、余裕が無い。でもとても可愛い。うーん。サンタさんどうか買ってください。

 


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